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高校1年生 情報 Ⅰ(プログラミング)授業の様子

『情報』の授業ではどんなことを学んでいるのか、興味がおありの保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、高校1年生の武善先生の情報の授業の様子を取材させていただきました。

まず『情報』という科目のご紹介を致します。近年できた科目と思われる方も多いと思いますが、その歴史は長く、情報教育「3観点」として情報A(情報活用の実践力)・情報B(情報の科学的理解)・情報C(情報社会に参画する態度)の3科目から1つ選択するという形で20年ほど前から始まりました。見直されながら、「プログラミング」や「シミュレーション」が必修となり、2022年からは全員が『情報I』を履修することになりました。そして、2025年度の大学入学共通テストに新科目として加わることとなり注目されています。

今回は、2学期最後の授業を取材させていただきましたので、ご紹介致します。
これまで学んできた情報技術の総まとめとして、『micro:bitでシステム開発』という実習授業です。
生徒たちは、プログラミングの方法としてブロック型とテキスト型の2つの方法を学んできました。今回はそのうちのブロック型でプログラミングし、コンピュータとmicro:bitを繋いで警報システムを作成する課題に取り組みました。授業は、先生の指示された手順通りひとつずつ教わりながら2〜3人のグループになって学習が進められていきました。パソコンで先生と画面を共有し、その様子はプロジェクターにも映し出されて両方で内容を確認していました。1.micro:bit の仕様
micro:bit(マイクロビット):イギリスのBBC(英国放送協会)が主体となって作った教育向けマイコンボードで、入力装置(ボタン、光センサ、加速度センサなど)や出力装置(25個のLED)も一体となっている。 2.使い方
パソコンでmakecodeへアクセスし、ここでは、大小のハートを選びハートの点滅のプログラムを組みます。micro:bitをコンピューターに繋ぎ、ダウンロードするとそのデータがmicro:bitに転送されてハート型に点滅します。

反応しない場合は、きちんとプログラミングできているか、あるいはmicro:bitが壊れていないかを確認します。

3.明るさ計測器
上のようにプログラミングしデータを転送する。

ハートは明るく光り、micro:bitを手で覆い暗くすると点灯する光が減り、完全隠すと消灯することがわかりました。転送後、「データを表示 デバイス」を選ぶと、グラフに波形が現れその変化をみることができました。
転送後、「データを表示 デバイス」を選ぶと、グラフに波形が現れ、その変化をみることが出来ました。
4.箱の開閉センサを作る
①机の引き出しの中にmicro:bitを入れて隠す。
②引き出しを開けると、警報音(ピコーン!)が流れる。
③引き出しを閉じると、警報音(ピコーン!)が止まる。

明るさを感知するとピコーンと音がなるようにプログラミングする。
5.エアーピンポン(基本2人。奇数のところは3人も可)
①グループで通信してみる。
②ケーブルを外して無線で通信してみる。
(電池駆動用のアダプターが接続されているので、ボタン電池を入れてスイッチON。)


席を離れ、教室の端と端に分かれてお互いの距離を取ってみる。離れたところから相手がmicro:bitを振る。するとピコーン!と、手元の自分のmicro:bitが鳴る。教室のあちこちでピコーン!ピコーン!ピコーン!と聞こえてきます。これをお互い繰り返し続ける=エアーピンポン。成功!!です。
最長10mくらいの距離まで届くそうです。グループごとに無線の強さを体験することができました。

情報科的発想とは、与えられた環境で頑張るということではなくて、『 技術 』の力で環境を変える・問題解決をしていくこと。

例として、冷蔵庫の扉を閉め忘れた時に、次は絶対に締め忘れないぞと頑張るのではなく、楽に技術を使って締め忘れを防止する仕組みを考えるということだと話されていました。とてもわかりやすい説明だと思いました。実際に商品化されているものもあるそうです。
ex) Fridgeezooフリッジィズ(扉閉め忘れおしらせセンサ)、ママ来たセンサetc… いよいよ総まとめ。ここまでやってきたことを踏まえてどんなプログラミングをしたらいいかをグループごとに考えて、課題に取り組みます。

【総合課題】警報システムの作成(2人で取り組む。奇数のところは3人も可)
①送信機・受信機の担当を決める。※3人グループは、受信機2台・送信機1台で行う。
送信機micro:bitは引き出しの中、受信機micro:bitは手に持っている状態とする。
③引き出しを開けた時、両方のmicro:bitで警報音(ピコーン!)が鳴り響く&光る。
④引き出しを閉めると、両方のmicro:bitで警報音(ピコーン!)が止まる&消える。

指示された条件にあったプログラミングを考えます。
システムが完成したら、武善先生の前で発表です。

どのようにプログラミングしたら良いか考えて、警報装置が作動するか試してみます。
うまく作動しなければ何度も頭を捻り試しながら、グループそれぞれにプログラミングをやり直していました。あまり難しく考えず、よりシンプル且つ簡単にすることがポイントだそうです。

送信機側のプログラミング受信機側のプログラミングプログラミングが出来たようです!
「先生!できました〜♪」さぁ、どうでしょうか。見事クリア!完成しました。
一組目に続いて、プログラミングを完成させたグループが、「出来ました!」と手を挙げています。『情報』って何を学ぶ科目なの?

情報に溢れている社会のなか、
「量が多すぎて情報の整理できない」
「何が本当かわからない」
「欲しい情報が見つからない」
「相手にうまく伝わらない!」など、その情報を処理することの難しさを感じることがあります。
ときにはコンピュータを活用しながら、『情報の海』を乗りこなす力を身につける科目ということなのです。その内容とは。

情報の多面的な解釈
効率の良い情報処理…プログラミング
・情報の的確な伝え方…情報デザイン
・情報にアクセスする力…ネットワーク技術
・新しい情報の創造…データ分析
・情報を管理する力…データベース

このような内容があげられ、さらに高校1年生が学ぶ『情報Ⅰ』コンセプト

1.コンピュータを活用して、問題解決ができるようになること。
2.情報科学(Computer Sience)をきちんと学ぶこと。
これを踏まえてカリキュラムが考えられています。
《1年間のカリキュラム》
1学期:情報デザインを中心に
2学期:プログラミングを中心に
3学期:データサイエンスを中心に

取材してみて、情報のモラルについて考える事に始まり、科学や技術の分野も加わり面白い教科だと感じました。また情報的発想から生まれたものが身近なところに溶け込み生かされている事も知りました。生徒達も、悩みながらも考えた末に出来た時の達成感を感じたり、上手くいかなくても友達に聞いてコミュニケーションを取りながら、楽しそうに授業に参加していました。情報科というのは、色々なことが学べる分野で、魅力ある科目と武善先生は話されていました。取材した私達もとても楽しく授業に参加させて頂くことが出来ました。そしてわかりやすくまとめた資料も用意して下さり、より情報という教科について学ぶ事が出来ました。

武善先生、そして生徒の皆さん、取材のご協力をいただきありがとうございました。

是非、サイトもご覧下さいませ。
https://fabcross.jp/topics/beginner_guide/20201029_microbit_guide.html