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小学校 (音楽科担当)織間先生・富樫先生インタビュー

今年度、3年ぶりに幼小中高全学あげての日出祭が開催されます。今回は、日出祭初日の10月1日(土)に開催される学芸会に向けて、熱心にご指導してくださっている音楽科の先生お二人に、アンケート形式でのインタビューをさせて頂きました。

 

~ 織間将先生 ~

小学生の頃からトランペットをはじめ、音楽がとにかく大好きという織間先生。音楽大学に進むことも自然な流れだったようです。

5年生の合唱の指導では「語りかけるように歌ってごらん」という言葉が印象的でした。生徒たちを1人の人間として、又若い音楽家として誠実に向き合うからこそうまれる美しい歌声、日出祭でアリーナいっぱいにひろがることでしょう。

織間先生ご自身が日出学園で教鞭をとる恩師と出会われ、また日出学園で子ども達の心を動かす恩師となる…そんな信頼関係を垣間見ることになるインタビューを、アンケート形式でお伺いしました。

Q1. 先生のご略歴を教えて下さい

東邦大学附属東邦中学校、高等学校卒業
武蔵野音楽大学 音楽教育学科卒業
2013年より現職

Q2. 音楽教師になった理由、きっかけをお聞かせ下さい。

音楽教師になりたいという実感を強くしたのは、教育実習で母校の東邦大学附属東邦高等学校に行った時です。たしか、生徒たちにモーツァルトのアヴェ・ヴェルム・コルプスという曲を教え、実際に合唱するような授業をしました。

大学生の拙い授業であったにも関わらず、その授業を絶賛してくださった先生がいて、「人に教えること」への自信を強く持つことができました。

そのタイミングで恩師である井上雄二先生(当時は、武蔵野音楽大学トランペット講師と日出学園小学校教諭を兼任されていました)から、日出学園小学校にお誘いをいただいたのがきっかけです。

Q3. 音楽の授業で、心がけていること、子どもたちに伝えたいと考えていることを教えて下さい。

音楽という科目は、その特性上、技能の向上がどうしても求められる傾向にあります。鍵盤ハーモニカやリコーダーを上手く演奏できるか、歌を上手く歌えるかなどによって音楽の得意な子と苦手な子というのが線引きされがちです。けれど、本当はそうであってはならないと思います。

楽器での表現力がいまひとつでも、身体表現が素晴らしい子がいます。
歌唱での表現力がいまひとつでも、文章での表現が素晴らしい子がいます。

一番大事なのは、その子が音楽をどのように感じたかです。一人ひとりの心の中の音楽です。

表現というのは、その源泉が豊かでないと成り立ちません。逆に言えば、心の中の音楽に豊かなイメージを持っていれば、それは何かしらの形で表出してくるはずです。

私達、音楽科の教員は、様々な形で表出してくる『その子なりの表現』に価値を見出し、それを認めてあげることで、子ども達の個性を伸ばしていってあげたいと考えています。

Q4. 音楽教師として、魅力ややりがいを感じるのはどのような時でしょうか。

先日、高校2年生になる卒業生の子が、全国的な作文のコンクールで最優秀賞というものをもらいました。その内容に、私のことが書かれていたときには驚きました。

詳しい内容は伏せますが「音楽を通して当時の私を救ってくれた」「今も音楽が大好き」といった内容が、彼女らしい柔和な表現の作文で綴られていました。

普段は忙しさに負けて、やりがいをしみじみと感じることは少ないですが、たまに、こういう思わぬ恩返しがあると、「これからも先生でいていいのかな」と自分に肯定的になれます。

Q5.今年度の担当学年と、それぞれの学年の日出祭での演目を教えて下さい。

2年生:合唱『歌えバンバン』、合奏『ドレミの歌』
5年生:合唱『マイバラード』、合奏『君の瞳に恋してる』
6年生:合唱『地球星歌』、合奏『ブラジル』

Q6. 日出祭へ向けて、先生ご自身の意気込みをお聞かせ下さい。

発表がある以上、学習の積み重ねを成果として見せる必要があります。
『心の中では、豊かに音楽のイメージができているから、演奏は乏しくてもいい』ではなく、上達のための努力を各自が継続しなければいけません。先ほどの質問で、『技術の向上がどうしても求められる』と書きましたが、まさにこのことです。

さて質問に戻りますが、私自身の意気込みというのはあまり強く持たないようにしています。冷静に子ども達を見れなくなる気がしますので。その代わり、教師としての使命感は持っています。

①努力が少しでも結果に繋がっていたら認めてあげる。
②努力が結果に繋がらず、困り果てていたら助言する。
③努力をさぼっていれば絶対に認めない。

本番の舞台は、一人ひとりの『やるぞ!』という自信たっぷりの表情が並ぶよう、普段の授業で指導していきたいと思っています。

Q7. 好きな作曲家はどなたですか。また、お休みの日は、どの様な音楽を聴いて過ごされますか。

好きな作曲家や好きな曲を、子ども達からもよく聞かれます。「たくさんありすぎて一つに絞れない」と返答したいところですが、しらけてしまうので普段は頭の中に浮かんだものを適当に答えています。
けれど、本当は嫌いな音楽を答えるほうが難しいくらいに好きなものだらけです。ジャズでもポップスでも、なんでも聴きます。

比較的最近聴いたり見たりしたもので、鳥肌が立つほど感動したものをご紹介します。

  • 映画『風と共に去りぬ』より『タラのテーマ』
  • ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』より『トゥナイト』
  • 清水美依紗『Staring Now 新しい私へ』

 

~ 富樫紗弥先生 ~

「明るい笑顔、明るい声」を心がけているという富樫先生。気さくで魅力的なお人柄は様々な経験をされてきたからかもしれません。音楽を通して人間の基礎である6年間に関わりたかったというお言葉が印象的で、授業でも一人一人に真摯に寄り添う姿がありました。

今回取材した3年生に限らず、日出っ子の印象をお伺いすると「子どもらしく素直、恥ずかしがらずにやる時はやる」ということ。知識や楽器の上達ばかりでなく、人間の大事な部分を引き出してくださる授業を重ねた子どもたちは、大きな舞台を終えた頃にはひとまわりもふたまわりも成長していることでしょう。それでは富樫先生のアンケート形式のインタビューをどうぞ!

Q1. 先生のご略歴を教えて下さい。

2003年 大学(ピアノ専攻)卒業後、伊藤楽器に入社。
2005年 音楽教室を開設(乳児リトミックから高齢の方まで個人レッスンやグループレッスン)
2012〜2016年 市川市、公立小学校、公立中学校音楽講師
2017年より現職

Q2. 音楽教師になった理由、きっかけをお聞かせ下さい。

音楽好きな両親のおかげで、幼少期よりクラシックからロックまでいろいろなコンサートに連れて行ってもらいました。習い事もピアノやエレクトーン合唱などをしていましたので、音楽に触れる機会は多くありました。

中でもピアノはおもちゃのように飽きることなく弾いていたのを覚えています。割と自然に音楽の道を目指し、大学卒業後、楽器店勤務を経て音楽教室を開きました。でも心のどこかで、一人30分ほどの時間が技術の伝達だけの時間になっているような気がして、私がしたい仕事は子どもたちの成長にもっともっと深く関わっていくことだ!と思うようになりました。そこから、いくつかの小学校や中学校の音楽専科を経て、今は日出学園小学校の音楽教師として、子どもたちの人間形成の基礎となる小学校の6年間の成長に携わることができています。

Q3. 音楽の授業で、心がけていること、子どもたちに伝えたいと考えていることを教えて下さい。

「明るい笑顔、明るい声」小学校の教師になってから私が心がけていることです。これは自分が落ち込んでいても、多少体調が悪くても心がけています。

音楽には技能的なテクニックを高めたり、音楽の要素を理解したりする理論的な内容と「この音を聴いたときにどんな気持ちになるか」や「この音をどんな気持ちで奏でたいのか」というような情緒的な内容があります。もちろん技能的な力を高めていくことは大切なことですが、私は情緒的な部分を大切にし「音楽」を通して子どもたちの、広い心と柔軟な心を育てていきたいと思っています。

授業中は音楽が得意な子も不得意な子も自分の考えや思いを表現しあい、違いを認め合い、相手の気持ちや意見を大切に出来るように、またそれと同じくらい自分の気持ちや意見も大切にできる時間にしたいと思っています。どの子も臆することなく意見を出して表現するには、授業の雰囲気が明るく和やかであることが一番だと思います。それには、教師の雰囲気ってとても大切です。

音楽には人の悲しみをやわらげたり、疲れた心を癒したり、嬉しい気持ちや楽しい気持ちを人と分かち合ったりする不思議な力があります。また、ウキウキしたり、やる気が湧いたり、感情が揺さぶられることもあります。

子どもたちにはたくさんの音楽を聴いて「音楽を楽しむ心」をどんどん感じてほしいと思います。私たちは忙しい毎日を淡々と過ごしてしまいがちですが、日常には音(音楽)が溢れかえっています。その一つ一つを感じていく事は難しいけれど、手を止めて音や音楽を感じる時間を大切にしてほしいのです。

音楽を感じる心が育つと感受性が豊かになります。感受性が豊かになると言う事は「いろいろなことを感じ取ることに優れている」と言うことです。それはこの先、変化の多い多様性の時代に生きる子どもたちにとっては重要な力になるはずです。そして、音楽を感じながら音楽を奏でるように人生を楽しんでほしいと思います。

Q4. 音楽教師として、魅力ややりがいを感じるのはどのような時でしょうか。

これはやはり子どもの「できた!」「感じた!」に出会えた時です。

難しいリコーダーの曲が吹けた!
鑑賞の授業で小さな音まで逃さずに聴くことができた!
合唱でお友達と同じ音で、同じ気持ちになれた!

そういう時、子どもたちは最高の表情を見せてくれます。音楽を通して子供たちの成長に立ち会えることが、一番のやりがいです。これからもたくさんの成長を見守っていけたら幸せだなと思います。

Q5. 今年度の担当学年と、それぞれの学年の日出祭での演目を教えて下さい。

1年生:合唱『にじ』、合奏『きらきら星変奏曲』
3年生:合唱『今日から明日へ』、合奏『小さな世界でジッパディドゥーダ』
4年生:合唱『compass of your hearts』、合奏『愛を感じて大きくなったよ』

Q6. 日出祭へ向けて、先生ご自身の意気込みをお聞かせ下さい。

音楽科ではコロナ禍の影響でたくさんの制限の中、授業を進めていかなければなりませんでした。マスクをしていても口を大きく動かし歌い、フェイスシールドをしながらメロディオンを演奏したり、リコーダーカバーをつけたままはじめてのリコーダーを学習したり…

そんな中でも子どもたちは、いつも一生懸命取り組んできました。子どもたちは自分を支えてくれている家族や仲間に感謝の気持ちを込めて一音一音を届けたいと頑張っています。その子どもたちの想いを私も全力で保護者の皆様にとってお子さんの成長を感じられる幸せな時間になればと思っています。

Q7. 好きな作曲家はどなたですか。また、お休みの日は、どの様な音楽を聴いて過ごされますか。

好きな作曲家はたくさんいます。チャイコフスキーや、ラフマニノフなど、ドラマチックで力強さを感じる曲が大好きですし、ドビュッシーの繊細な音楽も大好きです。その時の自分の気持ちに合わせて聞きたい作曲家が変わります。

休日は普通のお母さんですので、好きな音楽を聴く時間もたくさんは取れません。最近は高校生の娘のスマホから流れてくる音楽に心動かされることもあります。クラシック、ジャズ、J-POP、洋楽、いろいろなジャンルの曲を聴いたり、子供のギターに合わせて歌ったり家族で楽しむことが多いです。

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この度は取材のために貴重なお時間を頂戴し、ありがとうございました。

日出祭特別日課が開始され、学芸会に向けての準備や練習がより本格化してくると思います。授業時間内だけでなく、授業間の休み時間や昼休み、放課後まで、熱心に、熱く、温かく、ご指導してくださった成果を、心より楽しみにしております。

織間先生、富樫先生が、これからも子どもたちに音楽の持つ力を伝え、音楽を通じて豊かな心を育てくださることでしょう。子どもたちが先生方と過ごした時間によって、実りある小学校生活を送れることを心から祈っております。