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日出学園幼稚園 鍜治園長先生インタビュー

幼稚園の全体を管理する園長先生。園児たちの様子を見守ることの他に、他の先生方や保護者とのやりとりをはじめ、園全体の運営を日々行っていらっしゃいます。

今回は、以前より保護者の方からご要望の多かった園長先生へのインタビューを行い、園長先生の日々のお仕事や日出学園幼稚園の今後の教育・保育の目指すところなど、プライベートな話題も交えながら、お話を伺ってきました。


Q:一日のお仕事内容を教えてください。


A:
園内のルーチンは、朝の迎え入れ、出欠席の確認、ブログの写真撮影(『園長先生の保育日記』)、園内の環境整備です。園内では、特に毎日お会いする保護者の方々とお話するのが一番大事な仕事かと思います。子育ての様子を伺ったり、進路のことを考えたり、保護者の皆さんとお話しているといろいろ勉強になります。

 それ以外に外部とのやり取りがあって、業務部や学園内からの問い合わせや指示で仕事があったり(勤怠管理や広報、渉外など)、実習校の先生方と調整があったり、市川私立幼稚園協会の仕事、行政とのやり取りなどがあります。最近は、園児減少の折り、幼児教室や小規模保育園に出かけて広報する仕事にも以前より力を入れています。

Q:保育に携わるようになったきっかけを教えてください。

A:
あまり積極的な理由はなく、やりたくないことやできないなということは消去法で消していって、「できそうだな」ということで保育を選択しました。大学に入る時は「保育者にならなくても子育てに役立ちそう」くらいのつもりでした。実際にやってみたら楽しかった、役に立っているなと感じ、その連続でこれまで続けてきました。

Q:現場の醍醐味を教えてください。

A:
最初は無理だと感じた現場で、子供たちから学ぶことはもちろん、先生方にいろいろ教えてもらったり、とくに保護者の方々に育ててもらいました。人とのかかわりのなかで自分が変化していく、そうしたことに興味深さを感じます。かかわり合いはクリエイティブなもの。千葉大附幼勤務の頃から幼小連携がありますが、考え方の違う小学校の先生方と一緒に仕事をすると刺激を受け、自分の能力だけではやっていられないのだと実感します。そのような意味では、毎年変わる新入園児やその保護者の方々を受け止めることは楽しいです。

Q:日出学園幼稚園のこれからの教育・保育について教えてください。

A:
ここ5年ぐらいは社会の変化が大きく、幼稚園に求められていることも激変しています。就労対策のようなものは急いでやらないといけません。ただ、時代が変わっても、子供に必要な保育はそれほど変わりません。先生と子供の細やかなかかわりを基本にした丁寧な保育は大事なことです。愛情をかけた保育は子供の心を育てていますので、その点は変えないでやっていきたいと思っています。

一方で、入園してくる子供たちは基本が違います。生活習慣が変わってきていますので、どのあたりをきちんと教えていくか吟味する、精査することが先生に求められています。若い先生には昔ならではの良いものを伝えていき、なおかつ、若い先生の感性で変えていかないといけません。また、日出学園の特徴にもなっている幼小連携を強め、小学校の先生に見に来てもらったり、授業をやってもらったり、あるいは、幼稚園の先生が小学校へ勉強に行ったり、そうした行き来が活発になればいいなと思います。
他の幼稚園と比べてもらった際に、条件で落とされることが多くならないように、長時間の預かり保育や課外教室の充実など、いろいろな条件を揃えていかないといけないなと思います。中身の前に条件で取捨選択する段階がありますので、その段階で選ばれないことがないようにしていきたいです。子供らしさ、子供の良さを出発点にして、いろいろ学んでいける保育をしていきたいと思います。

日出学園はもうじき90周年となります。少子化で入園児が少なくなっていますが、伝統の日出の保育を継承して、一人一人がのびのびと子供らしく過ごせて、生きる力の源を作っていける保育をしていきたいと思います。

Q:子育て中の保護者へ、応援メッセージをください。

A:
日出学園幼稚園を選んでくださった保護者の皆様は、それだけで本当にいい親御さんです。バスはない、お弁当も多い、でもお子様には手をかけようという気持ちがおありです。その気持ちが子どもの心の栄養になっています。どの方もすばらしい。お子様への深い愛情に感動することがとても多いです。忙しく大変な日常だと思いますが、がんばりすぎず、がんばってまいりましょう。いつも私たち教員が一緒です!

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■インタビューを終えて

今回のインタビューで、園長先生が何度も口にされていた「丁寧な保育」。それは、時代や環境が変わっても揺らぐことのない、愛情をかけた保育でした。「保育や行事のやり方は一つ一つ吟味してやっていっています」とおっしゃるように、日々、時間をかけて園生活を考えていらっしゃいます。そうした愛情深い園生活は、おのずと子供たちの心を育てていくことでしょう。「なおく・あかるく・むつまじく」、これからも愛情あふれる日出学園を一層盛り立てていけますよう願っております。

最後になりますが、今回、貴重なお時間をいただき、お話を直接伺えたことに大変感謝しております。一同心よりお礼申し上げます。これからも変わらず、玄関でお会いできるのを楽しみにしております。

■編集後記 ~ 園バス“なし”の行き甲斐

幼稚園選びにあたり、園バスの有無を条件とされている保護者の方も少なくないと思います。学園内でもこれまで園バスの必要性が問われてきたようですが、今回のインタビューでは逆に、園バス“なし”の良いところについて話がありました。

園バス“なし”と聞いて、やはり不便に感じるでしょうか。天候、あるいは体調に関係なく、子供を送迎することは時に大変かもしれません。一方、「幼稚園の玄関で話をするのが楽しかったから、それがなくなるのはすごく寂しかったという卒園児の保護者の方が何人もいらっしゃった」そうです。“なし”の良いところとはこういうところなのだと思います。園長先生と保護者のやりとりはもちろん、保護者同士、お互いの様子を知っているだけで、例えば子供たちのいざこざも、大した問題にならないはずです。その日の幼稚園の様子や雰囲気を知る、感じるだけでも有意義なものになるのではないでしょうか。時間をかけた分だけ得られるものも当然あるはずです。現在幼稚園選びをされている保護者の方々も行き甲斐のある園生活を子供たちと一緒に送ってみてはいかがでしょうか。

■園長先生のプロフィール

【略歴】

千葉大学教育学部幼稚園教諭養成課程卒業、広島大学大学院教育学研究科幼児学専攻博士課程前期修了。千葉大学教育学部附属幼稚園にて11年間勤務、その後10年間、短期大学や大学で保育者養成の仕事に携わる。平成27年より日出学園幼稚園に勤務、平成29年より園長。

【好きな言葉・座右の銘】

高校の校訓「清く正しく朗らかに」。これは、日出学園の校訓「なおく・あかるく・むつまじく」に通じるものがありそう。そしてもう一つは、大学院で教わった「清濁併せ呑む」で、善悪のわけへだてをせず、来るがままに受け容れることの意。両方心に留めていらっしゃるとのこと。

【趣味】

趣味は小学校から続けてきた合唱、コーラス。小学生のころ、東京都の合唱祭で『気球に乗ってどこまでも』でステージデビュー。中学校、高校ではコーラス部に所属。高校では基本をよく教えてもらい、どこで歌っても大丈夫なようになる。大学では週4日、留年当たり前の厳しい部活動だったので入部せず、市民合唱団に参加。年末恒例の『第九』合唱はお手のもの、NHKホールでも歌った経験のある、こだわりよう。

今年2月から大学の時に参加していた合唱団、千葉混声合唱団に18年ぶりに復帰。日曜日は調布にある合唱団にも参加。今はモーツァルトを練習中。ほどほどに活動しているとはいえ、この前は演奏時間にして2時間半ほどもあるメサイアを合唱。

【好きな本】

日本史を手に取ることが多く、とくに古墳時代を好み、専門書を読むことも。きっかけは、住まいの多摩にある遺跡に興味を持ったこと。多摩は縄文時代に栄えていたところで、貝塚や竪穴住居がたくさんあり、相模川周辺にある神社には古墳があるのだとか。