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中高進路指導室インタビュー

夏休みも終わり2学期になると、いよいよ中高6年生は進路を決める大事な時期に突入します。また、他の学年でも、進路について悩んでいる方も多いと思います。そこで、進路指導部長の釣島先生に進路指導室でお話しを伺いました。

進路指導室の場所は5階の中高6年生の教室の並びにあります。

Q.進路指導部のお仕事を教えてください。

まず、大学受験に関する情報などの提供、発信です。その情報提供のために、毎年各大学などから送られてくる膨大な量の資料整理や、管理を行っています。大学の入試説明会や予備校主催の説明会などにも参加し、得た情報は精査した上で、「進路だより」などを通じ、生徒に発信しています。

各学年の模擬試験・夏期講習・冬期講習・特進クラスの学習合宿・進路講演会などの企画も行っています。また、できるだけ早めに大学を直に知ってほしいという思いから、ここ数年は、高校生を対象に大学の見学会や説明会などの引率もしています。

中学生には、職場体験や企業とのタイアップによるプレゼン体験などを企画し、今の自分を知ることで将来どのような大人になり、どう社会と関わっていくのかなどを考えさせるような、いわゆるキャリア教育を推進しています。キャリア教育は、自分の将来に向け、主体的に進路を選択する能力・態度を育てるうえで非常に重要だと考え、担任の先生と協力しながらサポートしています。

Q.生徒達は進路について自主的に相談に来ますか?進路相談室の利用状況をお聞かせ下さい。

改めて進路指導室に来るというよりも、受け持ちの授業の前後や補習授業の時などに相談されることが多いです。日常の会話から将来や進路に関する質問や相談に発展するパターンが多いと思います。夏休みが終わり秋になると、赤本を借りに来る6年生の利用が増えてきます。相談という生徒もいますが、どちらかというと誰かに話を聞いてほしくて来る生徒が多いかもしれません。勉強のことや友達、家族のことなど様々です。そんな時は時間の許す限り聞いてあげるようにしています。誰かに話すことで気持ちが軽くなり、落ち着くこともあると思っています。

Q.個別指導をする場合、どのような内容が多いですか?

エントリーシートの書き方や個別面接の練習などが多いです。その他には文系・理系の違い、受験校や、複数の大学を合格した際の選択についての相談もあります。

Q.一般入試以外に、推薦入試やAO入試などもありますが、受験の準備を始める時期や、注意する点などは、どのようなことですか?

一般的に、推薦入試やAO入試は、1年前からの準備が必要と言われています。推薦入試やAO入試での受験を選択するとなると、エントリーシートの準備や面接、小論文などの対策などが必要となります。その際、大学の特色やアドミッションポリシーについて、十分理解しておくことが大切です。そして、推薦入試・AO入試での合格が叶わなかった時には一般入試にシフトしなくてはなりませんので、それに向けての勉強も必須となります。あくまでも一般入試ありきの推薦入試・AO入試と考えなくてはいけないと思います。仮に推薦入試・AO入試で合格をしたとしても、一般入試で合格できるだけの学力を持って大学へ入学しないと、せっかく入学した大学でついていけないということになってしまう危険があるからです。

大学合格はゴールではなく、社会に出るためのスタートですから。

Q.推薦入試やAO入試では面接等による個人を見る試験方式が多いようですが、日出生が他校の生徒より勝っているところ、また足りないところはどこだと思われますか?

日出生の良さは、素直で穏やかなところや、相手に対して誠意を持って答えようとするところだと思います。生徒の引率で公共機関を利用することがありますが、同乗された方からお褒めの言葉を頂くこともよくあります。そういった生徒たちの本質は面接などに臨む場合にも自然とにじみ出るものではないでしょうか。

物足りなく感じるのは・・・これは日出生に限られたことではないかもしれませんが、自ら立ち向かおうとする気持ち、ハングリーさですね。まだまだ視野が狭く、世の中のことに関心を持てない生徒も少なくありません。新聞を読まないだけでなく、テレビすら見ないという生徒が多いことも気になります。今後の入試を見据え、普段から全体を踏まえた上でどうしたら良いかを考え行動することや、集めてきた情報を組み立て、論理的に考えることを意識して生活してほしいと思います。

Q.英検、TOEICなどの検定試験は、現在の受験方式と新しい受験方式では重要度に違いがあるのでしょうか?

現在でも検定試験を利用した大学の入試方式が増えていますが、今後は、ますます重要度が増していきます。国立大学では、2021年度入試より始まる共通テストと検定試験の両方が課されることが打ち出されていますし、一部の私立大学でも一般入試で検定試験が合否判定に活用されることが発表されています。国公立、私立を問わず、検定試験を活用する動きがあるので、低学年から計画的に準備を始めておく必要があると思います。

本校ではこのような動きを踏まえ、年に1回英語資格試験日を設け、学年に応じてさまざまな英語資格試験を段階的に受検する形をとっています。中高1年では英検を受け、その後も継続的に受検していくことを奨励しています。2年ではTOEFL Primary、3年ではTOEIC Bridge、高校では大学受験での採用率や将来性などからGTECとTOEICを受検します。それぞれの検定に特性があり、相性もあるので、一つでなく複数受けてスコアを伸ばしていくことが望ましいと思います。

Q.大学進学以外の選択肢にも希望があるかと思いますが、先生はどのようにお考えでしょうか?

もちろん絶対に反対というわけではありません。自分の将来の目的のために最善の道を模索した上での選択であれば、より専門的に学ぶことができる専門学校や就職も良いと思います。しかし、安易な思い付きや勉強からの逃げ道としての選択だと感じた時など、入学後に生徒本人が後悔することが予想される場合は、時間を掛けて話し合います。前者の場合であっても、大学という広く色々なことを学べる場に行ってから、改めて専門的に勉強し夢を実現する道もあるという話もしています。

Q.先生ご自身の受験体験から生徒や保護者に伝えたいことは?

生徒達には日頃から話していますが、受験は決して楽なことではありません。でも、大変だからこそ乗り越えた時の喜びも大きいものです。そして何よりも、大変な山を乗り越えたことが将来の自分を支える力になるのです。就職し社会に出る前のこの時期(年齢)こそチャレンジすべき時なのです。自分の中で勝手に限界を決めないことも大切です。ですから、保護者の皆様にもお子さんの限界を決めないでいただきたいのです。チャレンジする意欲、機会を奪わないでください。ご心配されるお気持ちはよくわかります。でも、焦らず待ってあげてください。そして、本人の意思を第一に、教師を交え、よく相談してください。

進路指導室は、資料や過去に出版された赤本がたくさん整理、保管されており、釣島先生の進路についての知識の多さにとても心強く感じました。生徒の皆さんも迷ったときには一人で悩まず、どんどん相談してほしいと思います。

釣島先生、お忙しいところを丁寧にインタビューにお答えいただき、ありがとうございました。