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日出学園幼稚園 わくドキくらぶ「書道」

わくドキくらぶとは、幼少期に日本の伝統文化に触れ体験することにより、国際社会に生きる日本人としての素養を磨く短期体験型の課外教室です。今回の「書道」は、鉛筆を正しく持ち、線もしっかり書く力の付いて来た年長さんを対象に、幼稚園ホールにて全三回にわたって行われました。

ピリリとした緊張感の漂う空気の中で始まった第一回。子供たちの背中からは初めての筆を前にドキドキわくわくの期待感が伝わってきます。最初に講師の先生からお道具の使い方の説明がありました。

子供たちは筆、すずり、墨、半紙、全てに興味津々です。「文鎮は落とさないように気をつけて。」とお話がありました。筆の持ち方や、左手でしっかり半紙おさえること、おなかと机の間はこぶしを一つ分空けて深過ぎないように浅めに座ること等、少し難しいお話にも真剣に耳を傾ける年長さんでした。

大事なお話をしっかり聞いた後は、いよいよ実際に先生のお手本をなぞって、線を書く練習が始まります。初回のこの日は、教わった沢山の大事なポイントを意識しながら、丸や線を書きました。筆をしっかり立てて、「とめる」「はらう」の違いに注意しながら筆を動かします。皆、とても集中して上手に書けていたので驚きました。

第二回では、「一」、「十」、「しか」の文字を書きます。まずは、正しい姿勢の確認です。背筋を伸ばして、体と机の間はこぶしを一つ分空けて座ります。筆の付け根までたっぷりと墨を付け、お皿の縁で余分な墨を落としながら穂先が細くなる形に整えます。半紙はツルツルなのが上面であるのを確認します。筆は立てて持ち、肘を張って腕全体を動かして書きます。 次に、書き始める前に、講師の先生方が、子供たちにもとても分かりやすい表現で黒板を使ってそれぞれの字の書き方を説明して下さいました。

「一」は、斜めに穂先を向け、そのままヒュッと浮かせてトンと留める。「十」の二画目は、穂先をそのままスッと上げる。ひらがなは、おうどんや茹でたパスタの様にやわらかく、空中でつながっているように等、動線の説明もされていました。他には、左手で紙を押さえる事や、紙が破けたり、一点だけ真っ黒になってしまったりするので途中で止まらないで最後まで一気に書く等、注意するところを教えていただきました。また、筆には馬、ヤギ、ヒツジ、イタチ等の毛が使われているというお話もして下さいました。

先生の周りに集まってお手本を見てから、教わった通りに書き始めます。できた作品は新聞紙に挟み、次の作品を書き始めます。三枚書いたら先生に添削して頂きました。

お友達と「上手!」「すごいね!」と褒めあったり、朱色の丸をいただいて嬉しくてぴょんぴょん飛び跳ねたり、「ぼく、花丸もらったよ!」と誇らしげだったり、とても微笑ましい光景でした。

墨の香りが懐かしく紙の音だけが響くホールで、ふと私たちが小学校の頃の記憶が蘇りました。いつも園庭で活発に遊んでいる年長さんが机に向かって真剣に取り組んでいる姿を見ると、もうすぐ小学生になる子供たちの成長の早さに驚かされました。

第三回の最終回は、自分の名前を書きます。最初に、前回までに習ったひとつひとつの動きを、先生からもう一度丁寧に分かりやすく説明していただき、確認をしました。次に、ボードの半紙に先生が実際に平仮名を書いて説明してくださいました。名前が2文字の人は、半紙を横半分に、3文字以上の人は縦半分に折り目をつけてから練習開始です。

まずは、鉛筆で書いてある名前を、墨をつけた筆でなぞります。先生が用意してくださったお手本と見比べてどうでしょうか。字が細い人は下に押すように力を入れること。また、途中で筆を上げないで最後まで続けること。やわらかくしなやかに、穂先はななめ左から入るように。そして、ゆっくり、大きく書くことをアドバイスいただき、子供たちは真剣な表情で書いていきます。

本日も前回同様に、三枚書き終えたら先生に添削していただきました。

そしていよいよ、仕上げの一枚を書きます。先生からも「見本をよく見て気合いを入れて書きましょう!」とのお言葉。三回目とあって子供たちの姿勢もピンとまっすぐに伸び、筆の使い方もスムーズになってきました。静かなホールに筆を運ぶ音が感じられ、一文字一文字、気持ちを込めて書いているのがとても伝わってきました。全員が書き終えると、今日書いた中で一番上手に書けたものを自分で選び、皆の前に横一列に並んで、お友達やお家の方に見ていただきました!

力強い字、やさしい字、思いを込めて書いたものを手に堂々と立つ姿は、自分の名前を書くことが出来た喜びと、やりとげた達成感にあふれていました。最後に、お片付けの仕方について。筆の穂先の何本かのことを「命毛」(いのちげ)というそうです。ここは筆の一番大切なところなので、洗うときはやさしく丁寧に扱いましょう。そして吊り下げて乾かしましょうと教えていただきました。

三回にわたるわくドキ「書道」は、お休みもなく全員元気に参加することが出来ました。一生懸命書いたものを大切にしまう姿も印象的で、回を重ねるたびに、教わったことを理解し集中して書き表していく様子に、心の大きな成長を感じ、立派な年長さんの姿に心打たれました。

取材へご協力頂きました先生方、どうもありがとうございました。